「納屋を焼く」がトラウマ

「蛍・納屋を焼く・その他の短篇集」に収録されていた「納屋を焼く」がトラウマになっている。

読み返したいんだけれど、まだ読み返せない。だから、解釈もなにもできたもんじゃないけれど、載せておく。

「納屋」は比喩的なものか、それとも単純に納屋そのものを言ったのか。おそらく、作者はどちらも意図していないし、意図しているとも言えるだろう。つまり、読者のご想像にお任せしますと。

確かなことは、

「僕のすぐ近くにある納屋が焼けたが、僕はそれに気づいていない」ことと、「彼女は消え、彼女が唯一信頼していた僕でさえも、1年後には忘れかけている」ということだ。

 

「存在」というものは誰かが認識することで、初めて成り立つ。逆に言えば、認識されていないものは、どんなに近くにいても存在しないのと同義だ。

今この時も、自分のすぐそばにある「納屋」のことに気づいてないかもしれないし、自分自身が「納屋」になっているかもしれない。

 

螢・納屋を焼く・その他の短編 (新潮文庫)

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